SAS(睡眠時無呼吸症候群)
当院ではSASに対するCPAP療法を導入しています。
Q1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)とは、大きないびきとともに睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。それにより体が低酸素状態となり、その状態が毎晩、年単位で起きれば心血管系の病気や生活習慣病の原因となってきます。
実は身近な病気で、日本人の潜在的SAS患者は940万人以上と考えられており、働き世代の7人に1人はSASを患っていると報告されています※。
※Benjafield, A.V., et al., Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis.Lancet Respir Med, 2019. 7(8): p. 687-698. DOI: 10.1016/S2213-2600(19)30198-5.
Q2. SASの原因は何ですか?
SASの原因は大きく2つに分けられます。
1つ目は、空気の通り道である上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA : Obstructive Sleep Apnea)です。約9割のSAS患者さんに当てはまるとされています。約6割の患者に肥満が認められますが、やせている人でも「下あごが小さい」「扁桃腺が大きい」などで発症することもあります。
2つ目は、脳から呼吸をする指令が出ない呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA : Central Sleep Apnea)です。このタイプは数%程度とされ頻度としては少ないです。CSAの場合は自発的に呼吸しようという努力がみられず原因は様々ですが、心臓の機能が低下している場合が約12~49%の割合でCSAがみられるとされています(※)。
※睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; 9
Q3. どの様な人が検査したほうが良いですか?
家族から指摘される大きないびきと無呼吸の他にも、「十分に睡眠時間を取っているのに日中眠くなる」「口やのどの渇き」、「熟睡感がない」、「居眠り」、「慢性的な疲労感」、「ボーっとして仕事に集中できない」、「体重が増えて血圧も高くなってきた」、「健康診断で多血(Hb値の増加)を指摘された」、などの心当たりがある方は一度当院での検査をお勧めします。SASチェックシートを以下に貼付しておきますので2項目以上当てはまる方は気軽にご相談ください。
Q4.どのような検査がありますか?
1. 簡易検査 ※当院で検査を行っています。
ご自身の体に小型で専用の機械を取り付け自宅で検査することにより睡眠の状態を調べることができます。呼吸や血中の酸素の状態などから睡眠時の呼吸障害の程度を診断することが可能です。
2. 精密検査(ポリソムノグラフィー; PSG)
脳波も含めた入院検査が必要な精密検査のため、簡易検査の結果、精密検査が必要な場合には検査可能な医療機関へご紹介いたします。
Q5. どのような治療方法がありますか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、主に「マウスピース」を使用して気道を確保する方法と「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。当院で行っているCPAP療法とは睡眠中、鼻に装着したマスクから最適な圧力をかけた空気を送り込み、気道を確実に広げる治療法です。CPAP療法の長期効果と安全性は確立されており、現時点で最も効果がある主たる治療方法です。狭心症、心筋梗塞の発症予防、高血圧の減少、眠気による運転中の事故リスクの低減効果など様々な報告があります。
簡易検査で中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方が保険適応で使用することが可能です。最近は驚くほどSASの機械も小型化されています。治療効果や機械の使用状況の確認のため、原則月に1回受診していただく必要がありますので気軽にご相談ください。
バス・タクシー・鉄道・トラック・企業様向け睡眠時無呼吸(SAS)検診も行っています。