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疾患から探す 産科

【産科疾患】

切迫流産 切迫早産

流産、早産の兆候として性器出血や生理痛に似た下腹部痛の症状が現れます。

下腹部痛が陣痛のように強くなって、通常は閉じているはずの子宮の出口が開いてきてしまうと、結果的に流産や早産に至ってしまうことがあります。原因は様々ですが、基本は安静(自宅安静や入院)が必要となります。原因に対しての加療を行います。

一部症状がないままに子宮の出口が開いてきてしまう特殊な状況もあります。(頸管無力症)

妊娠悪阻(つわり)

妊娠初期に吐き気や嘔吐、それに伴う脱水の症状、尿にケトン体が出てきます。

症状の出現にはかなり個人差がありますが、妊娠15週頃に落ち着いてくることが多いです。症状が長引くときは消化器系の病気がないか検査が必要となることもあります。ひどい脱水状態や食事摂取ができない状態の時は入院が必要となります。

稽留流産

妊娠初期の時期は超音波検査で胎児発育の経過をみていきます。

妊娠5週相当で胎嚢(赤ちゃんの入っている袋)が見え始め、およそ1週間後に胎嚢の中に胎芽と胎児心拍が確認できます(妊娠6週相当)。さらに2週間たつと胎児は1㎝ほどに発育してきます。(妊娠8週相当)

しかし、一度胎児心拍が確認されたあとに心拍が消失することや、胎嚢の中に胎児が発育してこないこともあります。2週間経過をみても発育が停止している場合は稽留流産の診断となります。時間がたつと、出血や腹痛症状が始まって流産へと進行します。

妊娠初期の流産の原因は受精卵の染色体異常が多いといわれています。

異所性妊娠

子宮の中でないところに妊娠している状態で子宮外妊娠ともいいます。

最も多いのは卵管妊娠でほか卵巣妊娠や腹腔内妊娠、頸管妊娠があります。

通常これらの妊娠は残念ながら継続することはできません。

超音波検査で子宮内に妊娠が確認できない場合は異所性妊娠も疑って、血中hCGの検査を行います。異所性妊娠ではおなかの中で出血することによっておこる腹痛症状や嘔吐、性器出血の症状を伴うこともあります。

その時の容態にもよりますが、しばしば緊急手術の対応が必要になります。

妊娠糖尿病

妊娠中に診断された糖尿病と診断された場合を妊娠糖尿病といいます。

高血糖の状態は胎児の発育に影響を及ぼしますので、妊娠中は厳格な血糖値のコントロールが重要となります。食事管理や必要に応じてインスリン治療を行います。

胎児は巨大児傾向となり(難産のリスク)羊水過多となるためおなかが張りやすい等の早産のリスクと兆候が現れることがあります。

家族に糖尿病の方がいる人や高齢妊娠、肥満はリスクが高いといわれます。

出産後は通常血糖値が正常値に戻りますが、将来的に2型糖尿病の発症する率が高いことも知られていますので定期検診を受けるようにしましょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧を発症した場合を妊娠高血圧症候群といいます。高血圧とは収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の時をいいます。

尿蛋白が陽性になることや腎機能異常、肝機能異常、胎児発育遅延を伴うこともあります。家族に高血圧の方がいる人や高齢妊娠、多胎妊娠はリスクが高いといわれます。

妊娠後期に急に血圧が高くなることもあり、重症例ではけいれん発作を伴って母児ともに危険な状態になることもあります。

出産後は通常血圧が正常値に戻りますが、しばらく血圧の治療薬が必要なこともあります。

子宮内胎児発育遅延

妊娠週数に比べて胎児の発育が小さい場合をいいます。

原因は胎児の要因、子宮の中の環境(胎盤やへその緒)の要因、母体の要因など様々あります。胎児の要因としては染色体異常を含む先天的な病気、子宮の中の環境の要因としては低酸素、低栄養になる状態、つまり胎盤が小さい、へその緒の血液の流れがよくないなどです。

母体側の要因としては喫煙、妊娠高血圧症、膠原病、極端なやせ(低体重)、遺伝的要素(お父さんもお母さんも小柄)などがあげられます。

赤ちゃんが大きくなっていないといわれたときは詳しい検査と慎重な経過観察が必要となります。

羊水過多 羊水過少

正常よりも羊水量が多い状態を羊水過多、少ない状態を羊水過少といいます。羊水は主に胎児の尿が産生源です。

羊水が多いとおなかが苦しいとか張りやすいといった自覚症状が現れることがあります。

原因は母体の糖尿病、胎児の嚥下障害、双胎の場合は双胎間輸血症候群などがあります。

おなかの張りによって破水や早産となるリスクがあります。

羊水が少ないことの原因としては胎児の泌尿器系の病気によるもの、妊娠高血圧症候群や胎児発育遅延に伴うものがあります。稀ではありますが気付かないうちに破水をしていたということもあります。

いずれも詳しい検査と慎重な経過観察が必要となります。

前置胎盤

胎盤が正常より低い位置に付着し、子宮の出口を覆っている状態をいいます。

診断は経腟超音波で子宮の出口と胎盤の位置を確認することで行います。

出血症状や全く症状を伴わない場合もありますが、分娩の時に多量の出血となるリスクがあるので、早めに入院して分娩は帝王切開が選択されます。

常位胎盤早期剥離

通常胎盤は後産(あとざん)と言って、赤ちゃんが生まれた後に子宮から続けて出てくるものですが、子宮の中で胎盤が先にはがれてしまう状態を常位胎盤早期剥離といいます。

0.5~1%の頻度で起こるといわれていて、とくに重症だと赤ちゃんがおなかの中で亡くなってしまうことや母体死亡の可能性もある重要な疾患です。

腹痛(ずっとおなかが張っている)、性器出血、胎動減少など症状が現れます。

診断は臨床症状と超音波検査、胎児心拍モニタリング等で行います。

喫煙や妊娠高血圧症症候群はリスクとなるといわれ、交通事故などの外傷でも起こります。

予防することは難しく、だれにでも起こりうる疾患です。早期診断が大事で、高次医療施設での緊急対応が必要となります。

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