メニュー

頭痛症

Q1.頭痛にはどんな種類がありますか?

一般外来を行っていると頭痛を主訴に来院される方が非常に多いことが分かります。初診の方の約10%が頭痛を主訴に来院され、日本人の4人に1人である3000万人が頭痛持ちであると報告されています

 頭痛の原因には大きく分けると2種類あります。1つは二次性頭痛、症候性頭痛と呼ばれ脳腫瘍、クモ膜下出血、髄膜炎、脳卒中、脳炎、むち打ちなど脳や頭頚部の病気の症状として出てくる頭痛です。

もう1つは一次性頭痛、慢性頭痛と呼ばれ二次性頭痛の様に病気が隠れているのではなく、頭痛を繰り返すことが問題である片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。頭痛持ちの人3000万人のうち2200万人が緊張性頭痛、840万人が片頭痛、1万人が群発頭痛であるとされています。慢性的に頭痛症状を繰り返す場合に病名として扱い「頭痛症」と呼びます

Q2.片頭痛とはどんな病気ですか?

片頭痛とは、頭の片方または両方のこめかみ付近がズキンズキンと脈打つような痛みが繰り返し起こる頭痛とされています。突然目の前にギザギザの光の波が現れ、それが広がっていきその後、暗く見えなくなるような現象を閃輝暗点(せんきあんてん)といいますが、その後に起こる頭痛が片頭痛の中で最も多いとされます。光以外にも音やにおい、チクチク感、めまい、言葉が出にくいなどの予兆もあるとされ、予兆の全くない片頭痛もあります。以下片頭痛の診断基準を上げておきますので参考にして下さい。
前兆のない片頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018)
A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛発作の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C. 頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
① 片側性
② 拍動性
③ 中等度~重度の頭痛
④ 日常的な動作(歩行や階段昇降)などにより頭痛が増悪する.
あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目をみたす
① 悪心または嘔吐(あるいはその両方)
② 光過敏および音過敏
E. ほかに最適なICHD-3の診断がない

Q3.片頭痛の治療にはどのようなものがありますか?

片頭痛の治療には、なるべく片頭痛の起こる前に治療薬を内服する急性期治療と、普段から予防薬を内服する予防療法の2つがあります。その他にも生活習慣の改善や頭痛体操などもありますので気軽にご相談ください。

代表的な使用するお薬を以下に挙げておきますので参考にして下さい。

内服薬(急性期治療)

①トリプタン製剤(イミグラン、レルパックス、ゾーミックなど)

イミグラン、ゾーミック、マクサルトとして処方されます。これらトリプタン製剤が片頭痛の急性期治療に使われる代表的な薬です。

片頭痛の原因の一つに血管の過度な広がりが考えられています。過度に広がった血管が、周りの三叉神経を刺激して痛みの原因物質を放出します。それにより血管の周りに炎症が起き、さらなる血管拡張を起こすといったことの繰り返しが脳に伝わり片頭痛を起こすとされています。

トリプタン製剤は広がった血管を収縮させる神経伝達物質のセロトニンに作用し、血管を収縮させ、神経からの痛みの原因物質を抑えることにより、片頭痛発作の痛みを和らげる作用があります。

効果的に使うには、飲むタイミングが大事です。頭痛を感じたらすぐ飲むのがよいです。早すぎても遅すぎとも効果が弱くなってしますので注意が必要です。ただし閃輝暗点が出る方は、前兆が少しおさまってから飲むと効果的とされています。

副作用として比較的多いのは、頚・胸・のど・肩の締めつけ感や圧迫感、息苦しさが有名で、トリプタン感覚とも呼ばれています。これらは特に心臓の異常とは関連がないことが証明されています。高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、末梢血管障害などのある方への投与には注意が必要とされています。

②ジタン系製剤(レイボー)

さらに最近2022年に発売されたレイボーというお薬も片頭痛の急性期治療に使用されます。こちらのお薬は血管を収縮させずに、神経からの痛みの物質を抑えることで効果を発揮しますので高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、末梢血管障害などのある方へも安全に投与可能なお薬です。

トリプタン製剤の副作用として比較的多く出現する、頚・胸・のど・肩の締めつけ感や圧迫感、息苦しさ、動悸、だるさなどのトリプタン感覚はレイボーでは少ないとされています。しかしながら、レイボーではトリプタン製剤より副作用が少ないというわけではありません。副作用としてめまい、傾眠、倦怠感などの報告があります。

予防療法

③カルシウム拮抗薬(ミグシス)

ミグシス錠として処方されます。

片頭痛の適応症をもつ日本初のカルシウム拮抗薬です。本剤は脳血管に対して選択的な血管収縮抑制作用を示すカルシウム拮抗薬であす。そのため、全身的な血圧降下作用はほとんど認めません。長期間の片頭痛に対する使用実績があり安全性は確立しています。副作用として眠気、めまい、吐き気、発疹などが報告されています。

④β遮断薬(プロプラノロール)

プロプラノロールとして処方されます。

片頭痛の適応症をもつβ遮断薬です。β遮断薬は古くから高血圧、冠動脈疾患、頻拍性の不整脈として使用されていますが、片頭痛予防にも効果が認められています。頭痛の診療ガイドライン2021でも使用を強く推奨されており、高血圧や冠動脈疾患をお持ちの方にも使用できるといった特徴があります。副作用としてめまい、ふらつき、徐脈、低血圧などが報告されています。

⑤CGRP関連予防薬(アイモビーク、アジョビ、エムガルティ)

アイモビーク、アジョビ、エムガルティとして月一回の注射薬で処方されます。どのお薬も2021年に発売され片頭痛予防薬の新しいお薬です。CGRP(calcitonin-gene related peptide)とはカルシトニン遺伝子ペプチドのことで片頭痛の原因となっている神経から出される痛み物質のことで、これをブロックすることで片頭痛を予防します。副作用として多いのは注射部位の疼痛、腫脹、その他めまい、便秘、蕁麻疹などの報告もあります。

頭痛体操

頭痛体操のやり方を以下PDFで上げておきますのでご参考ください。

頭痛体操PDF

一般社団法人日本頭痛学会ホームページより
https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_know.html

Q4.緊張型頭痛とはどんな病気ですか?

緊張型頭痛は一次性頭痛のうち最も多い頭痛の1つとされ、日本人の2200万人が緊張性頭痛を持っているといわれています。緊張型頭痛は圧迫されるような、あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛で、多くは両側性の頭痛とされています。原因として考えられているのは、無理な姿勢での長時間の作業や、スマホやパソコンの使用などによって頭から肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなり、部分的に筋肉が固くなり、これが神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられています。以下一般的な緊張型頭痛の診断基準を上げておきますので参考にして下さい。

頻発反復性緊張型頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版)
A 3ヵ月以上を超えて、平均して1ヵ月に1~14日(年間12日以上180日未満)の頻度で発現する頭痛が10回以上あり、かつB~D を満たす
B 30分~7日間持続する
C 以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
1 両側性
2 性状は圧迫感または締めつけ感(非拍動性)
3 強さは軽度~中等度
4 歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない
D 以下の両方を満たす
1 悪心や嘔吐はない
2 光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみ
Eほかに最適なICHD-3の診断がない
○平均して、1ヶ月に1日未満(年間12日未満)の発作頻度であれば稀発反復性緊張型頭痛に分類します。
○3ヵ月を超えて、平均して1ヶ月に15日以上(年間180日以上)の発作頻度であれば慢性緊張型頭痛に分類されます。慢性緊張型頭痛では頭痛は数時間から数日間、絶え間なく持続し、軽い吐き気をともなう場合があります。

Q5.緊張型頭痛の治療にはどのようなものがありますか?

特に頻度が少ない場合は頓用の頭痛薬で十分です。注意すべき点として、頭痛薬の飲みすぎで薬物乱用頭痛になってしまい頭痛が悪化することがありまので、頭痛薬の飲みすぎには注意が必要です。頭痛薬の使用は週に1-2日程度にとどめる必要があります。
 頻度の多い反復性緊張型頭痛や、慢性緊張型頭痛では漢方薬なども効果があるとされます。その他にも生活習慣の改善や頭痛体操などもありますので気軽にご相談ください。

Q6. 当院での頭痛の治療方針は?

当院では頭痛の方のための専用の問診用紙を準備しております。その後、診察にてどの頭痛に分類されるか診断いたします。状況に応じて院内でCT検査が即日に行えますので頭部CTを撮影し二次性頭痛の鑑別を行います。通常の頭痛薬の処方以外にも、漢方薬や理学療法のアドバイスも行わせていただきますので気軽にご相談ください。

一般社団法人日本頭痛学会ホームページ参照

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME